以前より発言が少ない、仕事の着手が遅い。そんな変化を見たときに「やる気がない」と決めつけると、業務上の障害を見逃すかもしれません。上司が最初にすることは、本人を奮い立たせる言葉探しより、何が仕事を進めにくくしているのかを一緒に確認することです。
期待が曖昧なのか、できないのか、余裕がないのか
外から似て見える行動でも、背景は異なります。目的が分からない、手順を知らない、判断権限がない、仕事が多すぎる、評価に納得していない、といった可能性を分けて考えます。私生活や健康について、本人が話したくない内容を聞き出す必要はありません。まず業務上の事実と必要な支援に焦点を当てます。
| 確認したい点 | 質問の例 | 支援の例 |
|---|---|---|
| 期待 | 今回、何ができれば完了だと理解していますか | 完成例を共有する |
| 進め方 | どの工程で判断に迷いますか | 初回だけ一緒に進める |
| 裁量 | 自分で決められる範囲は明確ですか | 相談が必要な条件を決める |
| 負荷 | 今の締切が重なる仕事は何ですか | 優先順位と期限を調整する |
自分で選べることと、支援を受けられることを両立する
自己決定理論では、自律性・有能感・関係性が動機づけを考える重要な要素とされています。[1] これを職場に応用するなら、やり方の選択肢、上達が分かるフィードバック、相談しやすい関係を整えるという考え方になります。理論があるからといって、特定の面談をすれば必ず意欲が上がるわけではありません。
例えば報告資料を任せるなら、「目的と期限は固定、構成は本人が提案、最初の見出し段階で一度確認」と決めます。完成後に全面修正するより、早い段階で判断基準を合わせた方が、本人も次回に使える知識を得やすくなります。
短い面談で合意するのは、次の行動一つ
面談では、まず「最近の案件で困った場面」を聞き、途中で評価や助言を重ねずに状況を確認します。その後、「次は何を試すか」「上司は何を手伝うか」「いつ振り返るか」を決めます。これは進め方の一例で、面談時間を固定する必要はありません。
フィードバックは「もっと主体的に」より、「前回は比較案がなかったため判断が止まった。次回は二つの案と、それぞれの懸念を持ってきてほしい」のように、行動と影響を具体化します。良かった点も同じように、何が助かったのかを伝えます。
上司側が見直したい落とし穴
- 相談した直後に責めるなど、相談の不利益を作っていないか。
- 任せると言いながら、理由なく毎回やり方を変えていないか。
- 頑張る人にだけ仕事を追加し続けていないか。
- 成果だけでなく、利用できた人員や時間の違いも見ているか。
疲労や体調の問題が疑われるときは、意欲向上の施策で解決しようとせず、業務調整や社内の相談先につなぐことを検討します。目標は本人の気持ちを操作することではなく、仕事に取り組める条件を整えることです。
面談で次の一歩を合意するメモ
本人の性格や意欲を評価する前に、業務で何が止まっているかを確認します。以下は面談の進め方の例で、心理状態を判定する検査ではありません。
最近困った具体的な場面: 本人が理解している完成条件: 不足している情報・時間・権限: 本人が試すこと: 上司が用意する支援: 確認する日:
記入・判断の例
架空の資料作成業務なら「主体性が足りない」ではなく「比較条件が未定で作成が止まっている」と記録します。上司が条件を整理し、本人が見出し案を作り、翌日に確認する、と双方の行動を決めます。
見直すときの判断
次の面談では約束した支援を上司側が提供できたかも確かめます。本人だけに改善を求める形にしないことが大切です。健康や私生活の詳しい情報を、業務記録に書くよう強制しないでください。
記入欄と説明例はHumsで作成した編集上の提案です。実在する個人・企業の実績ではありません。
参考資料
[1] Center for Self-Determination Theory:The Theory。質問表・任せ方は本記事で作成した実務上の例です。
