良い商品を作れば売れるとは限りません。反対に、注文が増えていても利益や現金が残らないことがあります。事業の成功を保証するチェックリストはありませんが、始める前に不確実な点を分けておくと、何を確かめるべきかが見えてきます。
1.誰が、何に困っているのか
「働く人向け」では対象が広すぎます。例えば「月末の集計を一人で担当し、転記に時間を使っている小規模事業者」のように、場面と課題を具体化します。本人が既に何で代用しているか、困る頻度はどの程度か、解決に支払う予算があるかを確認しましょう。
知人の「いいと思う」は参考になりますが、購入の約束とは違います。感想、問い合わせ、見積依頼、実際の購入を分けて記録します。SBAも、市場調査と競合分析を組み合わせ、顧客と競争環境を理解することを案内しています。[1]
2.一件売れたときに何が残るのか
売価から、販売するごとに増える費用を差し引いた額を確認します。商品原価だけでなく、配送費、決済手数料、販売に比例する外注費など、実態に応じた費用を含めます。何を変動費とするかは事業の形により異なります。
仮に売価5,000円、変動費3,000円なら、一件あたり2,000円が固定費の回収に使える額です。月の固定費が20万円なら、単純化した損益分岐点は100件です。これは単一商品の計算例であり、税金、返品、商品構成の変化などを含む実際の収支予測ではありません。[2]
3.どこで知ってもらい、どう購入してもらうのか
顧客が普段情報を探す場所と、販売する場所を分けて考えます。検索で知ってもらうのか、紹介なのか、店舗なのか。その後、価格、納期、使い方、問い合わせ先が分かり、購入まで進めるかを確認します。
閲覧数が伸びても注文が増えなければ、対象が違うのか、説明が不足しているのか、購入手続きで迷っているのかを調べます。広告費を増やす前に、一人の顧客が購入まで進む流れを自分でたどってみましょう。
4.買った後も価値を感じてもらえるか
継続購入がある事業なら、初回購入だけでなく利用後の満足や問い合わせを見ます。買い切り型なら、再購入率を無理に主要指標にせず、紹介、利用継続、返品や不具合など、事業に合う指標を選びます。どの事業にも同じKPIが適しているわけではありません。
5.利益と現金の動きを分けて見る
売上の計上と入金、仕入れと支払いには時間差があります。在庫を先に増やし、代金を後で受け取る事業では、売れていても現金が不足することがあります。月ごとの入金予定と支払予定を並べ、最も残高が少なくなる時点を確認します。個別の資金調達や税務の判断は、専門家に確認してください。
検証は、小さく始めて条件を記録する
最初から大量の在庫や固定費を抱える前に、提供できる範囲で顧客の反応を確かめます。実際に提供できない商品の販売や、根拠のない効果の約束は避けましょう。対象・価格・提案内容を記録し、何を変えた結果なのか分かる形で検証を重ねることが重要です。
事業の仮説を小さく確かめる表
売上予測を一つ置くより、その予測を支える仮定を分けます。計算欄は説明用の簡略化であり、個別の投資・融資判断に使う収支計画の代わりではありません。
想定顧客と困りごと: 今の代替手段: 提示する価格と条件: 一件の変動費: 月の固定費: 提供できる上限件数: 支払日と入金日: 継続・見直しの条件:
記入・判断の例
架空の単一商品で売価5,000円、変動費3,000円、固定費20万円なら固定費回収には100件が必要です。提供能力が月80件なら、完売してもこの前提では足りません。単価・費用・供給能力のどこを見直せるかを検討します。
見直すときの判断
売上が立つ時点と現金が入る時点も別欄にします。好意的な感想、見積依頼、購入を分け、少数の反応だけで大量の仕入れを決めないようにします。税や契約条件を含む具体的な判断は専門家と確認してください。
記入欄と説明例はHumsで作成した編集上の提案です。実在する個人・企業の実績ではありません。
参考資料
[1] SBA:Plan your business
[2] SBA:Break-even point calculator。数字は説明用の仮定です。
